我が主の御霊賜ひて春さらば
奈良の都に召上げたまはね
- 歌の意味
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わが主君のお心遣いをいただいて、春になったら、奈良の都に召し上げてください。
- 鑑賞
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巻第五 雑歌 882
詞書は前の歌に続き「敢へて私懐を布ぶる歌三首」
わが主君のご厚意によって、春になったら奈良の都に呼び戻してほしいと願う一首である。都で要職につく旅人に、自分の帰京への取りはからいを率直に頼んでいる。
題詞の「敢へて私懐を布ぶる」は、あえて個人的な思いを述べるという意で、送別の歌に続けて自らの願いを述べたものである。左注に天平二年十二月六日、筑前国守山上憶良が謹んで奉ったとある。
作者の山上憶良は、大宝元年に任じられた遣唐使の少録として唐に渡った官人で、帰国後は伯耆守や東宮に仕える役などを経て、神亀年間の末に筑前守として筑紫に赴任した。人生の苦しみや家族への情愛、貧しさなど、暮らしに根ざした主題を、漢籍や仏典の教養を背景に詠んだ歌人として知られる。
初句「我が主の」の「主」は主君の意で、大伴旅人を敬っていう。
二句「御霊賜ひて」の「御霊」は、ここではお心、ご恩恵の意で、旅人の厚意を願う。
三句「春さらば」は、春になったならば、の意である。
四句「奈良の都に」は、帰りたいと願う都をいう。
結句「召上げたまはね」の「ね」は願望の終助詞で、召し上げてくださいと願って三首を結ぶ。
ぬし:主君、主人
みたま:ここでは相手の心、恩恵
めさぐ:地方から都へ呼び上げる
- 作者
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山上憶良
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくのみや息づき居らむあらたまの 来経行く年の限り知らずて
- 次の歌
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音に聞き目にはいまだ見ず佐用姫が 領巾振りきとふ君松浦山