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若ければ道行き知らじ賄はせむ
黄泉の使負ひて通らせ

歌の意味
幼いので、あの世への道の行き方も知らないだろう。贈り物はしよう。黄泉の国の使いよ、この子を背負って通らせてやってくれ。
鑑賞
巻第五 雑歌 905

詞書は前の歌に続き「男子名は古日に恋ふる歌三首 長一首短二首」
 幼い子はあの世への道を知らないだろうから、贈り物をするので、黄泉の使いよ、背負って連れて行ってほしいと願う一首である。死んだ子の行く末までも案じる親の心を、冥途の使いへの頼みごととして表している。
 古日という名の男の子の死を悲しむ歌で、長歌一首と短歌二首からなる。長歌では、世の人が尊ぶ七種の宝よりも大切な我が子古日が、朝は床のそばを離れずともに戯れ、夕べには父母の間に寝ようと言っていたのに、思いがけず病にかかり、天地の神に祈ってもかいなく、ついに命を落としたことを、身をよじるような悲嘆とともに述べる。左注には、作者は未詳だが歌の作りぶりが山上憶良の作風に似ているので、ここに載せたとある。

 初句「若ければ」は、幼いので、の意で、子の幼さを理由として示す。
 二句「道行き知らじ」は、あの世への道の行き方も知らないだろう、の意で、ここで句が切れる二句切れである。
 三句「賄はせむ」の「賄」は礼物、贈り物のことで、「む」は意志である。ここでも句が切れる。
 四句「黄泉の使」の「黄泉」は「したへ」と読み、地下の死者の国をいう。その国の使者に呼びかけている。
 結句「負ひて通らせ」は、背負って通らせてくれ、の意で、子を託す願いを命令形で結ぶ。

まひ:礼物、贈り物
したへ:地下の国、黄泉の国
作者
作者未詳
出典
万葉集
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しつたまき数にもあらぬ身にはあれど 千年にもがと思ほゆるかも
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布施置きて我れは祈ひ祷むあざむかず 直に率行きて天道知らしめ