- 歌の意味
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海女の娘たちが真珠を求めているらしい。沖の波の恐ろしい海に舟出しているのが見える。
- 鑑賞
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巻第六 雑歌 1003
詞書「筑後守外従五位下葛井連大成、遥かに海人の釣船を見て作る歌一首」
沖の波が荒く恐ろしい海に、海女の娘たちが真珠を求めて舟出しているのが遠くに見えると詠んだ歌である。詞書によれば、筑後守であった葛井大成が、はるかに海人の釣船を眺めて作ったものである。
荒い波の立つ海へ出てゆく海女たちの姿を遠望し、その勇ましさと危うさとを、驚きをこめて描いている。遠く九州の地で官人が目にした海辺の暮らしを伝える一首である。
作者の葛井大成は奈良時代の官人で、大宰府の管内にある筑後国の守を務めた。葛井氏は渡来系の氏族で、もと白猪史を称し、養老四年(720)に葛井連の姓を賜った。
初句「海女娘子」は、海に潜って漁をする若い女性たちの意である。遠く眺めた舟の上の人物を示している。
二句「玉求むらし」は、真珠を求めているらしいの意である。「玉」は真珠、「らし」は目の前の様子を根拠にして推定する助動詞で、ここで意味が切れる二句切れとなる。
三句「沖つ波」は、沖の波の意である。「つ」は「の」の意の古い格助詞で、次の「畏き」へと続き、海の荒々しさを示している。
四句「畏き海に」は、恐ろしい海にの意である。「畏し」は人の力の及ばない自然への畏怖を表し、そこへ舟出する海女たちの危うさを際立たせている。
結句「舟出せり見ゆ」は、舟出しているのが見えるの意である。「り」は存続の助動詞で、終止形に「見ゆ」が続く古い語法によって、遠くに見えている光景をそのまま述べて一首を結んでいる。
あまをとめ:海に潜って漁をする若い女性
たま:真珠
ふなで:舟で漕ぎ出すこと
- 作者
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葛井大成
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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馬の歩み抑へ留めよ住吉の 岸の埴生ににほひて行かむ
- 次の歌
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思ほえず来ましし君を佐保川の かはづ聞かせず帰しつるかも