一昨日も昨日も今日も見つれども
明日さへ見まく欲しき君かも
- 歌の意味
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一昨日も昨日も今日もお会いしたけれど、明日までもお会いしたいあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第六 雑歌 1014
詞書は前の歌に続き「天平九年丁丑の春正月、橘少卿并せて諸大夫等、弾正尹門部王の家に集ひて宴する歌二首」
一昨日も昨日も今日も会ったのに、明日もまた会いたくなるあなたであることよ、と主人の門部王を慕う客側の歌である。前歌の「あらかじめ君来まさむと知らませば」という主人の歓迎に応え、何度会っても飽きない人だと主人を讃えている。
題詞によれば、天平九年(737)の正月、橘少卿をはじめとする官人たちが弾正尹の門部王の家に集まって宴を開いた折の歌二首である。橘少卿は橘佐為とされる。主人の門部王が客を迎える歌を詠み、客側の橘文成がそれに応えるという、宴の挨拶の贈答になっている。
左注に「右の一首は橘宿祢文成」とあり、さらに「即ち少卿の子なり」と注されている。父の橘少卿に伴って宴に加わった若い客が、客側を代表して返した挨拶の歌とみられる。
作者の橘文成は、左注によれば橘少卿、すなわち橘佐為の子である。経歴はほとんど伝わっていない。
前歌の第千十三首が「君」を迎える主人の歌であるのに対し、本歌は同じ「君」の語で主人を指し返し、迎える側と迎えられる側が互いを讃え合う対の構図になっている。
初句「一昨日も」は、おとといもの意で、次の「昨日も今日も」と日を追って重ねていく起点となる。
二句「昨日も今日も」は、「も」を重ねて連日の出会いを畳みかける。一昨日、昨日、今日と三日を並べる表現が、歌に軽快な調子を与えている。
三句「見つれども」は、会ったけれどもの意で、「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形、「ども」は逆接の接続助詞である。三日続けて会ったことを受けて、下の句で思いを反転させる。
四句「明日さへ見まく」は、明日までも会いたいの意である。「さへ」は添加の副助詞で、過去の三日に加えてさらに明日をと時間を先へ延ばす。「見まく」は「見む」のク語法で、見ることの意である。
結句「欲しき君かも」は、会いたいと思うあなただなあの意で、「かも」は詠嘆の終助詞である。体言「君」に「かも」を添えて結び、主人への親しみを込めて讃えている。
をとつひ:おととい、一昨日
きみ:あなた、ここでは主人の門部王を指す
- 作者
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橘文成
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あらかじめ君来まさむと知らませば 門に宿にも玉敷かましを
- 次の歌
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玉敷きて待たましよりはたけそかに 来る今夜し楽しく思ほゆ