山の端にいさよふ月を出でむかと
待ちつつ居るに夜ぞ更けにける
- 歌の意味
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山の端でためらっている月を、今出るか今出るかと待ち続けているうちに、夜が更けてしまった。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1071
詞書は前の歌に続き「月を詠む」
山の端でなかなか出てこない月を待つうちに、夜が更けてしまったことを詠む一首である。月の出を待ちわびる心と、むなしく過ぎてゆく時への嘆きが素直に表されている。
本巻の第千八十四首「山の端にいさよふ月をいつとかも我は待ち居らむ夜は更けにつつ」と初二句を同じくし、同じ趣向の歌が月を詠む歌群の中に置かれている。作者は未詳である。
初句「山の端に」は、山の稜線のあたりをいい、月の出る所を示す。第千八十四首と同じ初句である。
二句「いさよふ月を」の「いさよふ」は、ためらって進まない意で、なかなか昇らない月を擬人的に表す。この句も第千八十四首と共通する。
三句「出でむかと」は、今にも出ようかと、の意。推量の「む」に疑問の「か」を添え、期待と焦りの入りまじる待つ心を示す。
四句「待ちつつ居るに」の「つつ」は反復継続を表し、長い間待ち続けている様子をいう。
結句「夜ぞ更けにける」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びである。完了の「に」と詠嘆の「けり」で、気づけば夜が更けていたという感慨を表す。第千八十四首の結句「夜は更けにつつ」と対応する。
いさよふ:ためらって進まない、ぐずぐずする
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大夫の弓末振り起し狩高の 野辺さへ清く照る月夜かも
- 次の歌
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明日の宵照らむ月夜は片寄りに 今夜に寄りて夜長くあらなむ