玉垂の小簾の間通しひとり居て
見る験なき夕月夜かも
- 歌の意味
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玉を垂らした簾の隙間を通して、ひとりで座って眺めても、見るかいのない夕月夜であることよ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1073
詞書は前の歌に続き「月を詠む」
美しい夕月夜も、ひとりで簾越しに眺めるのでは見るかいがないと嘆く一首である。共に月を見るべき人がいない寂しさが、月の美しさによってかえって際立っている。
月を詠む歌であるが、室内で簾越しに月を見る姿から、恋人を待つ女性の立場の歌と見る説もある。作者は未詳である。
初句「玉垂の」は、玉を緒に通して垂らす意で、「小簾」にかかる枕詞である。
二句「小簾の間通し」は、簾の隙間を通して、の意。室内から外の月を眺める姿を描く。
三句「ひとり居て」は、ひとりで座っていて、の意。一首の嘆きの原因がここで示される。
四句「見る験なき」の「験」は効果、かいの意で、ひとりで見ても見るかいがないと述べる。
結句「夕月夜かも」は、夕方に出る月、また月の出ている夕方をいう「夕月夜」に詠嘆の「かも」を添えて結ぶ。
をす:簾の美称
しるし:効果、かい
ゆふづくよ:夕方の月、また月の出ている夕方
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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明日の宵照らむ月夜は片寄りに 今夜に寄りて夜長くあらなむ
- 次の歌
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春日山おして照らせるこの月は 妹が庭にもさやけくありけり