この月のここに来たれば今とかも
妹が出で立ち待ちつつあるらむ
- 歌の意味
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この月がここまで来たので、今こそその時と思って、妻は門口に出て立ち、私を待ち続けているだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1078
詞書は前の歌に続き「月を詠む」
月が空のある位置まで来たのを見て、約束の時が来たと妻が家の外に出て自分を待っているだろうと思いやる一首である。月の運行を時計のように用いて逢瀬の時を知るところに、当時の暮らしの実感がある。
月を詠む歌群の中で、月を通して恋人を思う歌であり、本巻の第千七十四首と同じく月と妹とを結びつけている。作者は未詳である。
初句「この月の」は、いま空にかかっている月をいう。
二句「ここに来たれば」は、月がこのあたりまで来たので、の意。已然形に「ば」を付けた確定条件で、月の位置によって時刻を知ったことを示す。
三句「今とかも」は、今こそその時と思ってか、の意。係助詞「か」は疑問を表し、結句の「らむ」と呼応する。
四句「妹が出で立ち」は、妻が家の外に出て立ち、の意。門口に立って待つ姿が目に浮かぶ。
結句「待ちつつあるらむ」の「らむ」は現在推量で、三句の「か」を受けて連体形で結ぶ。今ごろ待ち続けているだろうかと、離れた所にいる妻の様子を思いやる。
いでたつ:外に出て立つ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ぬばたまの夜渡る月を留めむに 西の山辺に関もあらぬかも
- 次の歌
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まそ鏡照るべき月を白栲の 雲か隠せる天つ霧かも