ひさかたの天照る月は神代にか
出で反るらむ年は経につつ
- 歌の意味
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天に照る月は、神代の昔へと立ち返って出てくるのだろうか。人の世の年月は過ぎてゆくというのに。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1080
詞書は前の歌に続き「月を詠む」
人の世では年月が過ぎて老いてゆくのに、天に照る月は神代のままの姿で出てくるのだろうかと、月の永遠性と人間の有限とを対比した一首である。月を眺めながら時の流れを思う、思索的な趣がある。
月を詠む歌群の中で、月の美しさや恋から離れ、悠久の時間へと思いを馳せる歌である。作者は未詳である。
初句「ひさかたの」は、「天」にかかる枕詞である。
二句「天照る月は」は、天空に照り輝く月は、の意。
三句「神代にか」は、神々の時代に、の意。係助詞「か」は疑問を表し、四句の「らむ」と呼応する。
四句「出で反るらむ」は、立ち返って出てくるのだろうか、の意。月は満ち欠けを繰り返して常に若返り、神代そのままの姿で現れるという思いを表す。三句の「か」を受けて連体形「らむ」で結ぶ四句切れである。
結句「年は経につつ」は、倒置の形で添えた句で、人の世の年月は過ぎてゆくのに、の意。「つつ」の余韻が、月の永遠と人の老いとの対比を深めている。
かむよ:神々が治めていたとされる遠い昔
いでかへる:再び立ち返って出る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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まそ鏡照るべき月を白栲の 雲か隠せる天つ霧かも
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ぬばたまの夜渡る月をおもしろみ 我が居る袖に露ぞ置きにける