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妹があたり我が袖振らむ木の間より
出で来る月に雲なたなびき

歌の意味
妻の家のあたりに向かって私は袖を振ろう。木の間から出てくる月に、雲よたなびいてくれるな。
鑑賞
巻第七 雑歌 1085

詞書は前の歌に続き「月を詠む」
 恋しい妻の家の方角に向かって袖を振ろうとし、その姿が見えるように、木の間から出る月を雲が隠さないでほしいと願う一首である。袖を振るのは、離れた相手に思いを伝える呪的な所作である。
 月を詠む歌群の中で、月の光を恋人との心の通い合いを助けるものとして詠んでいる。作者は未詳である。

 初句「妹があたり」は、妻の家のあたりに向かって、の意である。
 二句「我が袖振らむ」の「む」は意志で、袖を振ろう、の意。袖振りは別れや恋慕の情を伝える所作であり、二句切れとなる。
 三句「木の間より」は、木々の間から、の意で、月が昇ってくる様子を描く。
 四句「出で来る月に」は、木の間から姿を現す月に、の意である。
 結句「雲なたなびき」は、副詞「な」を動詞の連用形に添えた禁止の表現で、雲よたなびくな、の意。

そでふる:袖を振って恋しさや別れの思いを示す
出典
万葉集
前の歌
山の端にいさよふ月をいつとかも 我は待ち居らむ夜は更けにつつ
次の歌
靫懸くる伴の男広き大伴に 国栄えむと月は照るらし