- 歌の意味
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穴師川に川波が立った。巻向の弓月が岳に雲が立ちのぼっているらしい。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1087
詞書「雲を詠む」
穴師川の波立ちを見て、上流の弓月が岳に雲が湧き起こっているのだろうと推し量る一首である。眼前の川の変化から見えない山の天候を感じ取る、雄大で動きのある叙景歌として名高い。
詞書「雲を詠む」のもとの最初の歌である。次歌も弓月が岳に雲の立つ様を詠み、二首は一対として味わわれる。
左注に「右二首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、柿本人麻呂歌集所出の歌である。巻向は奈良盆地東南部、三輪山の北にあたる地で、人麻呂歌集にはこの地を詠んだ歌が多い。
初句「穴師川」は、巻向山から流れ出る川で、巻向川とも呼ばれる。
二句「川波立ちぬ」の「ぬ」は完了で、川波が立った、と眼前の変化を言い切る二句切れである。
三句「巻向の」は、奈良盆地東南部の地名で、弓月が岳のある一帯を指す。
四句「弓月が岳に」は、巻向山の峰の一つをいう。次歌の四句も「弓月が岳に」であり、同じ山を二首で詠み継いでいる。
結句「雲居立てるらし」の「らし」は根拠に基づく推定で、川波の立つのを根拠として、山に雲が立っているらしいと推し量る。
くもゐ:雲、また雲のある所
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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靫懸くる伴の男広き大伴に 国栄えむと月は照るらし
- 次の歌
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あしひきの山川の瀬の鳴るなへに 弓月が岳に雲立ちわたる