鳴る神の音のみ聞きし巻向の
桧原の山を今日見つるかも
- 歌の意味
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評判ばかりを聞いていた巻向の檜原の山を、今日こそこの目で見たことよ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1092
詞書「山を詠む」
噂にばかり聞いていた巻向の檜原の山を、ついに自分の目で見た感動を詠む一首である。名高い地を初めて目にした喜びが、率直な詠嘆となって表れている。
詞書「山を詠む」のもとの最初の歌である。結句「今日見つるかも」は本巻の第千百三首、第千百五首にも用いられ、名所を見た感動を表す型として以下の歌群で繰り返される。
左注に「右三首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、次の二首とともに柿本人麻呂歌集所出の歌である。
初句「鳴る神の」は、雷の意で、その轟く音から「音」にかかる枕詞である。
二句「音のみ聞きし」の「音」は噂、評判の意。枕詞からの続きで、音ばかり聞いていた、と噂だけで知っていたことをいう。
三句「巻向の」は、奈良盆地東南部の地名で、人麻呂歌集にしばしば詠まれる地である。
四句「桧原の山を」は、檜の茂る山を、の意。檜原は三輪山から巻向山にかけての檜林として名高い。
結句「今日見つるかも」は、今日ついに見たことよ、の意。完了「つ」の連体形に詠嘆の「かも」を添え、実見した感動を表す。
なるかみ:雷
ひはら:檜が群生している原や山
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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通るべく雨はな降りそ我妹子が 形見の衣我れ下に着り
- 次の歌
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三諸のその山なみに子らが手を 巻向山は継ぎしよろしも