古典和歌stream

三諸のその山なみに子らが手を
巻向山は継ぎしよろしも

歌の意味
三諸の山のその山並みに、巻向山が続いているさまは、実に好ましいことよ。
鑑賞
巻第七 雑歌 1093

詞書は前の歌に続き「山を詠む」
 神の山である三輪山の山並みに巻向山が連なる景観を、好ましいと讃えた一首である。山と山とのつながりを、恋人の手を枕にする親しさを思わせる枕詞とともに表し、国見の歌にも通じる土地讃美の歌となっている。
 前歌で巻向の桧原の山を見た感動を詠んだのに続き、巻向山と三輪山との連なりを讃える。左注に「右三首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、人麻呂歌集所出の歌である。

 初句「三諸の」は、神の降臨して宿る所の意で、ここでは三輪山を指す。
 二句「その山なみに」は、その山並みに、の意である。
 三句「子らが手を」は、いとしい娘の手を枕にする意の「巻く」から、「巻向」にかかる枕詞である。
 四句「巻向山は」は、三輪山の北に連なる山である。前歌の三句「巻向の」を受け、巻向の地を詠み継いでいる。
 結句「継ぎしよろしも」は、続いている様が好ましい、の意。「し」は強意の副助詞、「も」は詠嘆の終助詞である。

みもろ:神が降臨して宿る所、ここでは三輪山
まく:手などを枕にする
出典
万葉集
前の歌
鳴る神の音のみ聞きし巻向の 桧原の山を今日見つるかも
次の歌
我が衣色取り染めむ味酒 三室の山は黄葉しにけり