紀道にこそ妹山ありといへ玉櫛笥
二上山も妹こそありけれ
- 歌の意味
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紀伊へ向かう道にこそ妹山があると人は言うけれど、二上山にも妹の山があったのだなあ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1098
詞書は前の歌に続き「山を詠む」
紀伊への道にある妹山は名高いが、二つの峰が並ぶ二上山にも妹にあたる山があったのだと、発見の喜びを詠む一首である。山を男女に見立てる趣向で、二上山の雄岳と雌岳とを夫婦の山として眺めている。
前歌の巨勢山と同じく、山の名や姿を恋にかかわる言葉でとらえる歌である。巨勢山は紀伊への道筋にある山で、紀道の妹山を持ち出す点でも前歌とつながっている。作者は未詳である。
初句「紀道にこそ」は、紀伊国へ向かう道にこそ、の意。係助詞「こそ」は二句の已然形「いへ」と呼応する。
二句「妹山ありといへ」は、妹山があると言うけれども、の意。「こそ」を受けた已然形で文を続け、逆接の意を含ませている。紀ノ川沿いの妹山を指す。字余りの句である。
三句「玉櫛笥」は、美しい櫛箱の意で、箱の「蓋」と同音の「二」にかかる枕詞である。
四句「二上山も」は、大和と河内の境にある、雄岳と雌岳の二峰が並ぶ山をいう。「も」によって紀道の妹山と並べる。
結句「妹こそありけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びで、ここにも妹があったのだ、と発見の詠嘆を表す。二句と結句とで「妹」を重ねている。
きぢ:紀伊国へ向かう道
たまくしげ:美しい櫛箱。「ふた」「あく」などにかかる枕詞となる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子をこち巨勢山と人は言へど 君も来まさず山の名にあらし
- 次の歌
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片岡のこの向つ峰に椎蒔かば 今年の夏の蔭にならむか