片岡のこの向つ峰に椎蒔かば
今年の夏の蔭にならむか
- 歌の意味
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片岡のこの向かいの峰に椎の実を蒔いたら、今年の夏の木陰になるだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1099
詞書「岳を詠む」
向かいの丘に椎の実を蒔いたら、今年の夏にはもう木陰になるだろうかと詠む一首である。すぐには育たない木に即座の効果を期待する言い方に、ほほえましい戯れの気分がある。恋の成就を急ぐ心をたとえたものと見る説もある。
詞書「岳を詠む」のもとの一首である。片岡は奈良県の王寺町から香芝市にかけての丘陵とされる。作者は未詳である。
初句「片岡の」は地名で、片側が傾斜した岡の意ともとれる。
二句「この向つ峰に」は、この向かい側の峰に、の意である。
三句「椎蒔かば」は、椎の実を蒔いたならば、の意。未然形に「ば」を付けた仮定条件である。
四句「今年の夏の」は、今年の夏の、の意。種を蒔いてすぐの夏という、時間の短さが意識されている。
結句「蔭にならむか」は、木陰になるだろうか、の意。「か」は疑問で、あり得ないことを承知の上で問いかけるところに興趣がある。
むかつを:向かい側の峰
しひ:ブナ科の常緑樹シイ
- 出典
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万葉集
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紀道にこそ妹山ありといへ玉櫛笥 二上山も妹こそありけれ
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巻向の穴師の川ゆ行く水の 絶ゆることなくまたかへり見む