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巻向の穴師の川ゆ行く水の
絶ゆることなくまたかへり見む

歌の意味
巻向の穴師の川を流れてゆく水が絶えることのないように、絶えることなく、また立ち返ってこの地を見よう。
鑑賞
巻第七 雑歌 1100

詞書「河を詠む」
 穴師川の絶えない流れにことよせて、この地を何度でも訪れて見ようと誓う一首である。上三句は「絶ゆることなく」を導く序詞で、流れの永続性が再訪の誓いに重ねられている。
 詞書「河を詠む」のもとの最初の歌である。結句「またかへり見む」は本巻の第千百十四首、第千百八十三首にも見え、土地を讃える歌の結びの型となっている。
 左注に「右二首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、次歌とともに柿本人麻呂歌集所出の歌である。

 初句「巻向の」は、奈良盆地東南部の地名である。
 二句「穴師の川ゆ」の「ゆ」は経由を表す格助詞で、穴師川を通って、の意。本巻の第千八十七首の「穴師川」と同じ川である。
 三句「行く水の」は、流れてゆく水のように、の意。初句からここまでが序詞となる。
 四句「絶ゆることなく」は、序詞の水の流れから転じて、絶えることなく、の意となる。
 結句「またかへり見む」は、また立ち返って見よう、の意で、「む」は意志を表す。本巻の第千百十四首、第千百八十三首にも同じ句が用いられている。

かへりみる:立ち返って見る、再び訪れて見る
出典
万葉集
前の歌
片岡のこの向つ峰に椎蒔かば 今年の夏の蔭にならむか
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ぬばたまの夜さり来れば巻向の 川音高しもあらしかも疾き