ぬばたまの夜さり来れば巻向の
川音高しもあらしかも疾き
- 歌の意味
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夜がやって来ると、巻向の川の音が高く響くことよ。山から吹き下ろす嵐が激しいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1101
詞書は前の歌に続き「河を詠む」
夜になると巻向川の瀬音が高まり、嵐が激しく吹いているのだろうかと推し量る一首である。闇の中で聴覚だけが研ぎ澄まされ、見えない山の荒々しい気配を感じ取っている。
前歌と同じく巻向の川を詠むが、前歌が流れの永続を讃えるのに対し、この歌は夜の川音の荒々しさをとらえている。本巻の第千八十八首が瀬音と雲の広がりとを結びつけたのとも響き合う。
左注に「右二首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、柿本人麻呂歌集所出の歌である。
初句「ぬばたまの」は、「夜」にかかる枕詞である。
二句「夜さり来れば」の「さり来」は、時がやってくる意で、夜がやってくると、の意。
三句「巻向の」は、前歌の初句と同じ地名で、二首で巻向の川を詠み継いでいる。
四句「川音高しも」の「も」は詠嘆で、川の音の高いことよ、と言い切る四句切れである。
結句「あらしかも疾き」は、係助詞「かも」を受けて連体形「疾き」で結ぶ係り結びで、嵐が激しいのだろうか、と原因を推し量る。
あらし:山から激しく吹き下ろす風
さりく:時節や時がやって来る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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巻向の穴師の川ゆ行く水の 絶ゆることなくまたかへり見む
- 次の歌
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大君の御笠の山の帯にせる 細谷川の音のさやけさ