馬並めてみ吉野川を見まく欲り
うち越え来てぞ瀧に遊びつる
- 歌の意味
-
馬を並べて、吉野川を見たいと思い、山を越えてやって来て、激流のほとりで遊んだことだ。
- 鑑賞
-
巻第七 雑歌 1104
詞書は前の歌に続き「河を詠む」
仲間と馬を並べ、吉野川を見に山を越えてやって来て、激流のほとりで遊び楽しんだことを詠む一首である。遊覧の喜びと、吉野の川の見事さへの讃嘆とがこもっている。
前歌に続いて吉野川を詠み、前歌が思いがけず見た感動を詠むのに対し、この歌は見たいと望んで訪れた遊覧の歌である。作者は未詳である。
初句「馬並めて」は、馬を並べて、の意で、連れ立って出かける様を表す。本巻の第千百四十八首も同じ初句である。
二句「み吉野川を」は、美称「み」を冠した吉野川を、の意である。
三句「見まく欲り」は、見ることを望んで、の意。「見まく」は「見む」のク語法である。
四句「うち越え来てぞ」は、山を越えてやって来て、の意。係助詞「ぞ」は結句の連体形「つる」と呼応する。
結句「瀧に遊びつる」の「瀧」は、激しく流れる急流をいう。「ぞ」を受けて連体形「つる」で結ぶ係り結びである。
たき:水が激しく流れる所、急流
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
今しくは見めやと思ひしみ吉野の 大川淀を今日見つるかも
- 次の歌
-
音に聞き目にはいまだ見ぬ吉野川 六田の淀を今日見つるかも