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泊瀬川白木綿花に落ちたぎつ
瀬をさやけみと見に来し我れを

歌の意味
泊瀬川の、白い木綿の花のように白く泡立って流れ落ちる瀬が清らかだというので、見に来た私なのだ。
鑑賞
巻第七 雑歌 1107

詞書は前の歌に続き「河を詠む」
 白木綿の花のように白く泡立って落ちる泊瀬川の瀬の清らかさを求めて、わざわざ見に来たことを詠む一首である。結句の「我れを」に、見に来た甲斐をかみしめる感慨がこもる。
 河を詠む歌群で、吉野川の歌に続いて泊瀬川が詠まれる。次歌も泊瀬川を詠み、二首が一組となっている。作者は未詳である。

 初句「泊瀬川」は、大和の泊瀬の地を流れる川である。
 二句「白木綿花に」は、楮の繊維で作った白い木綿を花に見立てた語で、白く泡立つ水しぶきのたとえである。
 三句「落ちたぎつ」は、激しく流れ落ちてわき立つ、の意である。
 四句「瀬をさやけみと」は、瀬が清らかなので、と思って、の意。ミ語法に「と」を添えている。
 結句「見に来し我れを」は、見に来た私なのだ、の意。「を」は詠嘆とも逆接ともとれ、見に来た感慨を余情として残す。本巻の第千百八十七首にも同じ結句が見える。

ゆふ:楮の皮の繊維で作った白い布状のもの
たぎつ:水が激しくわき立って流れる
出典
万葉集
前の歌
かはづ鳴く清き川原を今日見ては いつか越え来て見つつ偲はむ
次の歌
泊瀬川流るる水脈の瀬を早み ゐで越す波の音の清けく