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泊瀬川流るる水脈の瀬を早み
ゐで越す波の音の清けく

歌の意味
泊瀬川の流れる水脈の瀬が速いので、堰を越えてゆく波の音の清らかなことよ。
鑑賞
巻第七 雑歌 1108

詞書は前の歌に続き「河を詠む」
 泊瀬川の急流が堰を越えてあふれる、その波の音の清らかさを讃える一首である。前歌が白く泡立つ瀬の姿を視覚でとらえたのに対し、この歌は波音を聴覚でとらえ、二首で泊瀬川の瀬の姿と音とを描き分けている。
 河を詠む歌群の中で、清らかな川音を讃える歌の一つである。作者は未詳である。

 初句「泊瀬川」は、前歌の初句と同じで、二首で泊瀬川を詠み継いでいる。
 二句「流るる水脈の」の「水脈」は、川の流れの筋をいう。
 三句「瀬を早み」は、瀬が速いので、の意。「〜を〜み」の形のミ語法で原因を表す。
 四句「ゐで越す波の」の「ゐで」は、川の水をせき止めて水位を上げるための堰をいう。堰を越えてあふれる波の、の意である。
 結句「音の清けく」は、形容詞「清けし」のク語法「清けく」で結び、清らかなことよ、と詠嘆する。

みを:川の流れの筋
ゐで:水をせき止めるために川に設けた堰
出典
万葉集
前の歌
泊瀬川白木綿花に落ちたぎつ 瀬をさやけみと見に来し我れを
次の歌
さ桧の隈桧隈川の瀬を早み 君が手取らば言寄せむかも