さ桧の隈桧隈川の瀬を早み
君が手取らば言寄せむかも
- 歌の意味
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桧隈の桧隈川の瀬が速いので、渡るのにあなたの手を取ったならば、人々は二人の仲をあれこれと噂するだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1109
詞書は前の歌に続き「河を詠む」
急流の桧隈川を渡るのにあなたの手を取ったら、それを見た人が二人の仲を噂するだろうかと、恋の人目をはばかる心を詠む一首である。川を渡るという口実と、手を取りたい恋心とがほのかに重なり合う。
河を詠む歌群の中に、恋の心を川にことよせた歌が置かれている。作者は未詳である。
初句「さ桧の隈」は、接頭語「さ」を冠した地名「桧の隈」で、同じ地名を重ねて二句の「桧隈川」を導く。
二句「桧隈川の」は、飛鳥の西南、桧隈の地を流れる川である。
三句「瀬を早み」は、瀬が速いので、の意。前歌の三句と同じ句で、急流という条件を共有している。
四句「君が手取らば」は、あなたの手を取ったならば、の意。未然形に「ば」を付けた仮定条件である。
結句「言寄せむかも」の「言寄す」は、人が噂して二人を結びつける意。「むかも」は推量に疑問と詠嘆を添える。
ことよす:噂を立てて二人の仲を言いはやす
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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泊瀬川流るる水脈の瀬を早み ゐで越す波の音の清けく
- 次の歌
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ゆ種蒔くあらきの小田を求めむと 足結ひ出で濡れぬこの川の瀬に