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ゆ種蒔くあらきの小田を求めむと
足結ひ出で濡れぬこの川の瀬に

歌の意味
清めた種を蒔く新しく開いた田を探し求めようと、足結いをして出かけ、この川の瀬に濡れてしまった。
鑑賞
巻第七 雑歌 1110

詞書は前の歌に続き「河を詠む」
 清めた種籾を蒔く新墾の田を求めて出かけ、川の瀬で濡れてしまったと詠む一首である。新しい田を求めることに新しい恋人を求めることをたとえ、そのために苦労したと読む説がある。
 河を詠む歌群の中で、前歌に続いて川の瀬を恋の苦労の場として詠む歌である。作者は未詳である。

 初句「ゆ種蒔く」の「ゆ種」は、斎み清めた種籾をいう。
 二句「あらきの小田を」の「あらき」は、新たに開墾した田をいう。「小田」は田の美称である。
 三句「求めむと」は、探し求めようとして、の意である。
 四句「足結ひ出で濡れぬ」は、足結いをして出かけ、濡れてしまった、の意。「足結ひ」は袴の膝下を紐で結ぶ旅支度である。「ぬ」は完了で、四句で言い切る字余りの句となっている。
 結句「この川の瀬に」は、倒置により濡れた場所を後から示す。

ゆだね:斎み清めた種籾
あらき:新たに開墾した田
あゆひ:袴の膝の下を紐で結ぶこと、またその紐
出典
万葉集
前の歌
さ桧の隈桧隈川の瀬を早み 君が手取らば言寄せむかも
次の歌
いにしへもかく聞きつつか偲ひけむ この布留川の清き瀬の音を