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妹が紐結八河内をいにしへの
みな人見きとここを誰れ知る

歌の意味
妻の紐を結うという名の結八の河内を、昔の人々はみな見たというが、今ここを誰が知っているだろうか。
鑑賞
巻第七 雑歌 1115

詞書は前の歌に続き「河を詠む」
 結八川の流れる河内を、昔の人は皆見たというけれど、今この地を知る人は誰がいようかと詠む一首である。前歌と同様に、初句の「妹が紐」が「結ふ」を導き、同じ地名を讃えている。
 解釈に諸説のある難解な歌で、古人は見たというが自分のほかに誰がこの美景を知ろうか、と地の美しさを独り占めする喜びを表すとも、人に忘れられた地を惜しむともとられる。作者は未詳である。

 初句「妹が紐」は、妻の紐を結う意から「結ふ」と同音の「結八」を導く句で、前歌の初二句と同じ趣向である。
 二句「結八河内を」の「河内」は、川の流れに沿って開けた平地をいう。前歌の「結八川」と同じ地である。
 三句「いにしへの」は、昔の、の意である。
 四句「みな人見きと」は、人々がみな見たと、の意。「き」は過去の助動詞である。
 結句「ここを誰れ知る」は、ここを誰が知っているだろうか、の意の反語的な表現で結ぶ。

かふち:川の流れに沿って開けた平地
出典
万葉集
前の歌
我が紐を妹が手もちて結八川 またかへり見む万代までに
次の歌
ぬばたまの我が黒髪に降りなづむ 天の露霜取れば消につつ