いにしへにありけむ人も我がごとか
三輪の桧原にかざし折りけむ
- 歌の意味
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昔ここにいた人も、私と同じように、三輪の檜原で小枝を折って髪に挿したのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1118
詞書「葉を詠む」
三輪の檜原で檜の枝を折って挿頭にしながら、昔の人も自分と同じようにしたのだろうかと思いを馳せる一首である。古人と自分とが同じ行為で結ばれることへの感慨に、今は亡き人への追慕がにじむ。
詞書「葉を詠む」のもとの歌で、次歌とともに三輪の檜原を詠む。次歌は「過ぎにし人」が手折らないので檜原がうらぶれていると詠み、二首は亡き人をしのぶ一対の歌と見られている。
左注に「右二首柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、柿本人麻呂歌集所出の歌である。
初句「いにしへに」は、昔に、の意。本巻の第千百十一首の初句「いにしへも」と通じる。
二句「ありけむ人も」の「けむ」は過去推量で、昔いたであろう人も、の意である。
三句「我がごとか」は、私のように、の意。係助詞「か」は疑問で、結句の「けむ」と呼応する。
四句「三輪の桧原に」は、三輪山の麓の檜林をいう。本巻の第千九十二首の「桧原の山」、第千九十五首の「泊瀬の桧原」とともに、檜原が名所として詠まれている。次歌の結句「三輪の桧原は」と対応する。
結句「かざし折りけむ」は、髪に挿す小枝を折ったのだろうか、の意。三句の「か」を受けて連体形「けむ」で結ぶ。
かざし:草木の枝や花を髪に挿すこと、またその飾り
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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島廻すと磯に見し花風吹きて 波は寄すとも採らずはやまじ
- 次の歌
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行く川の過ぎにし人の手折らねば うらぶれ立てり三輪の桧原は