馬酔木なす栄えし君が掘りし井の
石井の水は飲めど飽かぬかも
- 歌の意味
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馬酔木の花のように栄えていたあの方が掘った井戸の、石で囲った井の水は、いくら飲んでも飽きることがない。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1128
詞書は前の歌に続き「井を詠む」
馬酔木の花のように栄えたかつての主が掘った石井の水を、いくら飲んでも飽きないと讃える一首である。水のうまさへの讃嘆に、今は亡き、あるいは去ってしまった主への追慕が込められている。
前歌と同じく「井を詠む」の歌で、前歌が走井の清らかさを詠んだのに対し、この歌は井を掘った人への思いを加えている。作者は未詳である。
初句「馬酔木なす」は、馬酔木の花のように、の意。「なす」は〜のような、の意を表す。馬酔木は房状に咲き満ちる花で、繁栄のたとえとなる。
二句「栄えし君が」は、栄えていたあの方が、の意。「し」は過去の助動詞で、その栄えが今は過去のものであることをにじませる。
三句「掘りし井の」は、掘った井戸の、の意である。
四句「石井の水は」は、石で囲った井戸の水は、の意。三句の「井」を四句の「石井」で重ねている。
結句「飲めど飽かぬかも」は、飲んでも飽きないことよ、の意。「見れど飽かぬ」という讃美の型を水に用いたもので、本巻の第千百七十七首の結句「見れど飽かぬかも」と通じる。
あしび:ツツジ科の常緑低木アセビ
いしゐ:石で周りを囲った井戸
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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落ちたぎつ走井水の清くあれば 置きては我れは行きかてぬかも
- 次の歌
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琴取れば嘆き先立つけだしくも 琴の下樋に妻や隠れる