夢のわだ言にしありけりうつつにも
見て来るものを思ひし思へば
- 歌の意味
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夢のわだとは、名前だけのことだったのだ。現実に見て来たのだから。思いに思い続けていたので。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1132
詞書は前の歌に続き「芳野にて作る」
夢のわだという名の地を、長く思い続けていたために現実に見ることができたので、「夢」というのは名ばかりだったと詠む一首である。地名の「夢」を逆手にとり、夢ではなく現実に見た喜びを表している。
芳野にて作る歌の一首である。夢のわだは吉野川の宮滝付近の淵とされ、大伴旅人の歌にも詠まれた名所である。作者は未詳である。
初句「夢のわだ」は、吉野川の淵の名である。「わだ」は川や海の湾曲して入り込んだ所をいう。
二句「言にしありけり」は、名前だけのことであったのだ、の意。「けり」は気づきの詠嘆で、二句切れとなる。本巻の第千百四十九首、第千百九十七首、第千二百十三首にも同じ句が見える。
三句「うつつにも」は、現実にも、の意で、初句の「夢」と対比される。
四句「見て来るものを」は、見て来たのだから、の意である。
結句「思ひし思へば」は、思いに思っていたので、の意。「し」は強意で、同じ動詞を重ねて思いの深さを表す。
わだ:川や海の湾曲して入り込んだ所
うつつ:現実
- 出典
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万葉集
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