古典和歌stream

すめろきの神の宮人ところづら
いやとこしくに我れかへり見む

歌の意味
神である天皇の宮に仕える宮人の私は、ところづらのように、いよいよ永久に、この吉野を繰り返し訪れて見よう。
鑑賞
巻第七 雑歌 1133

詞書は前の歌に続き「芳野にて作る」
 天皇に仕える宮人として、ところづらの名にちなみ、いつまでも変わらず吉野を訪れて見ようと誓う一首である。吉野の離宮への行幸に従う宮人の立場から吉野を讃え、永遠の奉仕を誓っている。
 芳野にて作る歌の一首で、結句「我れかへり見む」は、本巻の第千百首などの「またかへり見む」と同じく、再訪を誓う土地讃美の型である。作者は未詳である。

 初句「すめろきの」は、天皇の、の意である。
 二句「神の宮人」は、神である天皇の宮に仕える人、の意で、作者自身を指す。
 三句「ところづら」は、トコロという植物のつるをいい、「とこ」の音から四句の「いやとこしく」を導く枕詞的な句である。
 四句「いやとこしくに」は、いよいよ永久に、の意である。
 結句「我れかへり見む」は、私は繰り返しここを訪れて見よう、の意で、「む」は意志を表す。

ところづら:ヤマノイモ科のトコロのつる
出典
万葉集
前の歌
夢のわだ言にしありけりうつつにも 見て来るものを思ひし思へば
次の歌
吉野川巌と栢と常磐なす 我れは通はむ万代までに