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宇治川は淀瀬なからし網代人
舟呼ばふ声をちこち聞こゆ

歌の意味
宇治川には流れのゆるやかな浅瀬がないらしい。網代で漁をする人たちが舟を呼ぶ声が、あちらこちらから聞こえてくる。
鑑賞
巻第七 雑歌 1135

詞書「山背にて作る」
 網代で漁をする人々が舟を呼ぶ声があちこちから聞こえるのを耳にして、宇治川には歩いて渡れる淀んだ瀬がないのだろうと推し量る一首である。急流の宇治川の様子と、そこに生きる人々の声とが生き生きと描かれている。
 詞書「山背にて作る」のもとの最初の歌で、以下宇治川を詠む歌が続く。宇治は大和から近江や山背へ向かう交通の要所であった。作者は未詳である。

 初句「宇治川は」は、山背国の宇治を流れる川で、流れの速いことで知られた。
 二句「淀瀬なからし」の「淀瀬」は、流れのゆるやかな浅瀬をいう。「らし」は根拠に基づく推定で、二句切れとなる。
 三句「網代人」は、網代を使って魚を捕る人をいう。宇治川の網代は名高いものであった。
 四句「舟呼ばふ声」の「呼ばふ」は、繰り返し呼ぶ意で、渡し舟を呼ぶ声である。
 結句「をちこち聞こゆ」は、あちらこちらから聞こえる、の意で、二句の推定の根拠を示している。

あじろ:竹や木を組んで川に仕掛け、魚を捕る漁具
よばふ:繰り返し呼ぶ
出典
万葉集
前の歌
吉野川巌と栢と常磐なす 我れは通はむ万代までに
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宇治川に生ふる菅藻を川早み 採らず来にけりつとにせましを