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さ夜更けて堀江漕ぐなる松浦舟
楫の音高し水脈早みかも

歌の意味
夜が更けて堀江を漕いでいるらしい松浦舟の、櫓の音が高く聞こえる。水脈の流れが速いからだろうか。
鑑賞
巻第七 雑歌 1143

詞書は前の歌に続き「摂津にて作る」
 夜更けに難波の堀江を漕ぐ松浦舟の櫓の音が高く響くのを聞き、流れが速いためだろうかと推し量る一首である。闇の中に響く櫓の音によって、夜の港の情景と旅愁とが描かれている。
 摂津にて作る歌の一首である。堀江は難波に開かれた運河で、松浦舟は肥前の松浦で造られた舟、またはその型の舟をいう。作者は未詳である。

 初句「さ夜更けて」は、夜が更けて、の意である。
 二句「堀江漕ぐなる」の「なる」は音によって判断する推定の助動詞で、堀江を漕いでいるらしい、の意。
 三句「松浦舟」は、肥前国松浦で造られた舟、またはその型の舟をいう。
 四句「楫の音高し」は、櫓の音が高い、の意で、四句切れの字余りの句である。
 結句「水脈早みかも」は、水脈の流れが速いからだろうか、の意。ミ語法に疑問の「かも」を添えて原因を推し量る。

ほりえ:人工的に掘った水路、ここでは難波の堀江
みを:川や海の流れの筋
出典
万葉集
前の歌
命をし幸くよけむと石走る 垂水の水をむすびて飲みつ
次の歌
悔しくも満ちぬる潮か住吉の 岸の浦廻ゆ行かましものを