古典和歌stream

悔しくも満ちぬる潮か住吉の
岸の浦廻ゆ行かましものを

歌の意味
悔しいことに、満ちてしまった潮よ。住吉の岸の浦辺を通って行こうと思っていたのに。
鑑賞
巻第七 雑歌 1144

詞書は前の歌に続き「摂津にて作る」
 住吉の岸の浦辺を歩いて行こうと思っていたのに、潮が満ちてしまって行けないことを悔しがる一首である。美しい住吉の浜を歩きたかった思いが、悔しさとして表されている。
 摂津にて作る歌で、以下、住吉の浜を詠む歌が続く。作者は未詳である。

 初句「悔しくも」は、悔しいことに、の意である。
 二句「満ちぬる潮か」は、満ちてしまった潮よ、の意。「か」は詠嘆で、二句切れとなる。
 三句「住吉の」は、摂津の住吉で、住吉大社の鎮座する海辺の地である。
 四句「岸の浦廻ゆ」の「浦廻」は入り江の周りをいい、「ゆ」は経由を表して、浦辺を通って、の意となる。
 結句「行かましものを」は、行こうと思っていたのに、の意。「まし」は反実仮想で、「ものを」は逆接の詠嘆である。

うらみ:入り江の周り、浦辺
出典
万葉集
前の歌
さ夜更けて堀江漕ぐなる松浦舟 楫の音高し水脈早みかも
次の歌
妹がため貝を拾ふと茅渟の海に 濡れにし袖は干せど乾かず