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楫の音ぞほのかにすなる海人娘子
沖つ藻刈りに舟出すらしも

歌の意味
櫓の音がかすかに聞こえる。海人の娘たちが沖の藻を刈りに舟出するらしい。
鑑賞
巻第七 雑歌 1152

詞書は前の歌に続き「摂津にて作る」
 かすかに聞こえる櫓の音から、海人の娘たちが沖の藻を刈りに舟出するのだろうと推し量る一首である。耳に届く音から海辺の人々の営みを思い描く、静かな叙景歌である。
 摂津にて作る歌の一首である。本文には「一に云ふ、夕されば楫の音すなり」という異伝が添えられ、初二句を夕方の情景として伝える本もあった。作者は未詳である。

 初句「楫の音ぞ」は、櫓の音が、の意。係助詞「ぞ」は二句の連体形「なる」と呼応する。字余りの句である。
 二句「ほのかにすなる」の「なる」は音による推定で、かすかに聞こえるようだ、の意。「ぞ」を受けて連体形で結ぶ二句切れである。
 三句「海人娘子」は、海で働く娘たちをいう。
 四句「沖つ藻刈りに」は、沖の藻を刈りに、の意である。
 結句「舟出すらしも」は、舟出するらしい、の意。「らし」は根拠に基づく推定で、「も」は詠嘆である。

あまをとめ:海で漁や藻刈りをする娘
おきつも:沖に生える藻
出典
万葉集
前の歌
大伴の御津の浜辺をうちさらし 寄せ来る波のゆくへ知らずも
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住吉の名児の浜辺に馬立てて 玉拾ひしく常忘らえず