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雨は降る仮廬は作るいつの間に
吾児の潮干に玉は拾はむ

歌の意味
雨は降るし、仮小屋は作らなければならないし、いったいいつの間に吾児の干潟で玉を拾えばよいのだろうか。
鑑賞
巻第七 雑歌 1154

詞書は前の歌に続き「摂津にて作る」
 雨は降り、仮小屋を作る作業にも追われて、吾児の干潟で玉を拾う暇がないと嘆く一首である。旅の雑事に追われる忙しさと、玉拾いへの心残りとがユーモラスに表されている。
 前歌が名児の浜で玉を拾った思い出を詠んだのに対し、この歌は玉を拾う暇のなさを嘆いており、玉拾いをめぐって対照的な二首が並ぶ。吾児は名児と同じ所とする説がある。作者は未詳である。

 初句「雨は降る」は、雨は降る、と言い切る句である。
 二句「仮廬は作る」は、仮小屋は作る、の意。初句と対句のように並べ、旅の雑事を畳みかけている。
 三句「いつの間に」は、いつの間に、の意で、結句の「む」と呼応する疑問を表す。
 四句「吾児の潮干に」は、吾児の浜の潮が引いた所に、の意である。
 結句「玉は拾はむ」は、玉を拾おうか、の意。三句の疑問を受けて、玉を拾う暇のなさを嘆く。

かりいほ:旅先で仮に作る小屋
しほひ:潮が引いた浜辺、干潟
出典
万葉集
前の歌
住吉の名児の浜辺に馬立てて 玉拾ひしく常忘らえず
次の歌
名児の海の朝明のなごり今日もかも 磯の浦廻に乱れてあるらむ