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時つ風吹かまく知らず吾児の海の
朝明の潮に玉藻刈りてな

歌の意味
潮時に吹く風がいつ吹き出すかわからない。吾児の海の夜明けの潮のうちに、玉藻を刈ってしまおう。
鑑賞
巻第七 雑歌 1157

詞書は前の歌に続き「摂津にて作る」
 潮の満ちる時に決まって吹く風がいつ吹いてくるかわからないので、吾児の海の夜明けの潮のうちに玉藻を刈ってしまおうと詠む一首である。海辺の暮らしの知恵と、美しい藻を刈る楽しみとが感じられる。
 吾児の海を詠む歌として本巻の第千百五十四首と対応し、夜明けの海を詠む点で第千百五十五首とも通じる。作者は未詳である。

 初句「時つ風」は、潮の満ちる時刻などに決まって吹く風をいう。
 二句「吹かまく知らず」の「まく」は推量の「む」のク語法で、吹くであろうことがわからない、の意。二句切れとなる。
 三句「吾児の海の」は、住吉の吾児の海の、の意。第千百五十四首の「吾児」と同じ地で、字余りの句である。
 四句「朝明の潮に」は、夜明けの潮に、の意。第千百五十五首の「朝明」と同じ語である。
 結句「玉藻刈りてな」の「てな」は、完了の「つ」の未然形に意志の「な」を付けた形で、刈ってしまおう、の意。

ときつかぜ:潮時など決まった時に吹く風
たまも:藻の美称
出典
万葉集
前の歌
住吉の遠里小野の真榛もち 摺れる衣の盛り過ぎゆく
次の歌
住吉の沖つ白波風吹けば 来寄する浜を見れば清しも