年魚市潟潮干にけらし知多の浦に
朝漕ぐ舟も沖に寄る見ゆ
- 歌の意味
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年魚市潟は潮が引いたらしい。知多の浦で朝漕ぐ舟も、沖の方へ寄ってゆくのが見える。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1163
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
知多の浦で朝漕ぐ舟が沖の方へ寄ってゆくのを見て、年魚市潟の潮が引いたのだろうと推し量る一首である。舟の動きから干潮を知る、観察の行き届いた叙景歌である。
羈旅にて作る歌の一首で、年魚市潟は尾張の海、現在の名古屋市南部にあった干潟とされる。巻第三の第二百七十一首の高市黒人の歌にも「年魚市潟潮干にけらし」の句が見える。作者は未詳である。
初句「年魚市潟」は、尾張の干潟である。
二句「潮干にけらし」は、潮が引いたらしい、の意。「けらし」は「けるらし」のつづまった形で、すでに起こった事態を推定する。二句切れで、巻第三の第二百七十一首にも同じ句が見える。
三句「知多の浦に」は、知多半島の海辺に、の意で、字余りの句である。
四句「朝漕ぐ舟も」は、朝漕ぐ舟も、の意である。
結句「沖に寄る見ゆ」は、沖の方へ寄ってゆくのが見える、の意で、二句の推定の根拠を示す。
しほひ:潮が引くこと、また干潟
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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円方の港の洲鳥波立てや 妻呼びたてて辺に近づくも
- 次の歌
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潮干ればともに潟に出で鳴く鶴の 声遠ざかる磯廻すらしも