潮干ればともに潟に出で鳴く鶴の
声遠ざかる磯廻すらしも
- 歌の意味
-
潮が引くと、そろって干潟に出て鳴く鶴の声が遠ざかってゆく。磯のあたりをめぐっているらしい。
- 鑑賞
-
巻第七 雑歌 1164
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
潮が引いて干潟に出た鶴の群れの鳴き声が、しだいに遠ざかってゆくのを聞き、磯をめぐって餌をあさっているのだろうと推し量る一首である。声の遠ざかりによって鶴の動きをとらえた、聴覚的な叙景歌である。
前歌に続いて干潟を詠み、前歌が舟の動きから潮の引いたことを推し量ったのに対し、この歌は鶴の声の移ろいから鶴の行方を推し量っている。作者は未詳である。
初句「潮干れば」は、潮が引くと、の意である。
二句「ともに潟に出で」は、そろって干潟に出て、の意で、字余りの句である。
三句「鳴く鶴の」は、鳴く鶴の、の意である。
四句「声遠ざかる」は、声が遠ざかる、の意で、四句切れとなる。
結句「磯廻すらしも」は、磯のあたりをめぐっているらしい、の意。「らし」は推定を表す。
いそみ:磯のあたり、磯をめぐること
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
年魚市潟潮干にけらし知多の浦に 朝漕ぐ舟も沖に寄る見ゆ
- 次の歌
-
夕なぎにあさりする鶴潮満てば 沖波高み己妻呼ばふ