いにしへにありけむ人の求めつつ
衣に摺りけむ真野の榛原
- 歌の意味
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昔ここにいた人が探し求めては、衣に摺り染めたという、真野の榛原よ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1166
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
昔の人がその木を求めては衣を摺り染めたという真野の榛原を前にして、古人をしのぶ一首である。名所の榛原を通して、遠い昔の人々の営みに思いを馳せている。
羈旅にて作る歌の一首で、真野は摂津の地名、現在の神戸市長田区あたりとされる。初二句は本巻の第千百十八首「いにしへにありけむ人も」とほぼ同じで、古人に思いを寄せる趣向を共有する。榛で摺り染めた衣は第千百五十六首にも詠まれる。作者は未詳である。
初句「いにしへに」は、昔に、の意。第千百十八首と同じ初句である。
二句「ありけむ人の」は、昔いたであろう人が、の意である。
三句「求めつつ」は、探し求めては、の意である。
四句「衣に摺りけむ」は、衣に摺り染めたという、の意。「けむ」は過去の事柄を推し量り、伝え聞く意を表す。
結句「真野の榛原」は、真野の地の榛の林をいい、名詞で結ぶ体言止めである。
はりはら:ハンノキの茂る原
する:草木の汁や土を衣にこすりつけて染める
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕なぎにあさりする鶴潮満てば 沖波高み己妻呼ばふ
- 次の歌
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あさりすと磯に我が見しなのりそを いづれの島の海人か刈りけむ