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楽浪の連庫山に雲居れば
雨ぞ降るちふ帰り来我が背

歌の意味
楽浪の連庫山に雲がかかると雨が降るという。帰っておいで、あなた。
鑑賞
巻第七 雑歌 1170

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 楽浪の連庫山に雲がかかると雨が降るという言い伝えを持ち出し、雨にあわないうちに早く帰っておいでと夫に呼びかける一首である。旅にある夫の身を気遣う妻の情愛がこもっている。
 前歌に続いて近江を舞台とし、旅にある夫を待つ妻の立場で詠まれている。連庫山は楽浪の地の山であるが、所在は定かでない。作者は未詳である。

 初句「楽浪の」は、琵琶湖の南西岸一帯の古い地名である。
 二句「連庫山に」は、楽浪の地の山の名で、所在は定かでない。
 三句「雲居れば」は、雲がかかると、の意である。
 四句「雨ぞ降るちふ」の「ちふ」は「といふ」のつづまった形で、雨が降るという、の意。係助詞「ぞ」を受けて連体形「ふる」で結ぶ四句切れである。
 結句「帰り来我が背」は、帰っておいで、あなた、の意。「来」は命令形「こ」である。

せ:女性が夫や恋人を親しんで呼ぶ語
出典
万葉集
前の歌
近江の海港は八十ちいづくにか 君が舟泊て草結びけむ
次の歌
大御船泊ててさもらふ高島の 三尾の勝野の渚し思ほゆ