大御船泊ててさもらふ高島の
三尾の勝野の渚し思ほゆ
- 歌の意味
-
天皇の御船が停泊して風待ちをしている、高島の三尾の勝野の渚が思い出される。
- 鑑賞
-
巻第七 雑歌 1171
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
天皇の御船が停泊して風待ちをした高島の三尾の勝野の渚が、今も思い出されると詠む一首である。行幸に従った折に見た近江の湖岸の景を懐かしんでいる。
羈旅にて作る歌の一首で、近江の湖を詠む歌が続く中に置かれる。高島は琵琶湖の北西岸で、三尾の勝野はその湖岸の地である。作者は未詳である。
初句「大御船」は、天皇の乗る御船をいう。
二句「泊ててさもらふ」の「さもらふ」は、様子をうかがって待つ意で、風や波の具合を見て待機することをいう。
三句「高島の」は、近江の琵琶湖北西岸の地名である。
四句「三尾の勝野の」は、高島の地名である。
結句「渚し思ほゆ」は、渚が思い出される、の意。「し」は強意、「思ほゆ」は自発を表す。
さもらふ:様子をうかがいながら待つ、風待ちをする
なぎさ:波打ち際
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
楽浪の連庫山に雲居れば 雨ぞ降るちふ帰り来我が背
- 次の歌
-
いづくにか舟乗りしけむ高島の 香取の浦ゆ漕ぎ出来る舟