いづくにか舟乗りしけむ高島の
香取の浦ゆ漕ぎ出来る舟
- 歌の意味
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どこから舟に乗ったのだろうか。高島の香取の浦から漕ぎ出してくる、あの舟は。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1172
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
高島の香取の浦から漕ぎ出てくる舟を見て、あの舟はどこから乗り出してきたのだろうかと思いを巡らす一首である。見知らぬ舟への関心に、旅人の好奇心と旅情とがにじんでいる。
前歌と同じく近江の高島を詠み、二首が一組となっている。初句「いづくにか」は本巻の第千百六十九首の三句と同じで、近江の湖の歌に共通する問いかけの形である。作者は未詳である。
初句「いづくにか」は、どこで、の意。係助詞「か」は二句の「けむ」と呼応する。第千百六十九首の三句と同じ語である。
二句「舟乗りしけむ」は、舟に乗ったのだろうか、の意。「か」を受けて連体形で結ぶ二句切れである。
三句「高島の」は、前歌と同じ高島をいう。
四句「香取の浦ゆ」の「ゆ」は起点を表し、香取の浦から、の意となる。
結句「漕ぎ出来る舟」は、漕ぎ出てくる舟の意で、名詞で結ぶ体言止めである。倒置によって問いの対象を後から示している。
ふなのり:舟に乗ること、船出
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大御船泊ててさもらふ高島の 三尾の勝野の渚し思ほゆ
- 次の歌
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飛騨人の真木流すといふ丹生の川 言は通へど舟ぞ通はぬ