夏麻引く海上潟の沖つ洲に
鳥はすだけど君は音もせず
- 歌の意味
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海上潟の沖の洲に鳥は群がり騒いでいるけれど、あなたからは何の便りもない。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1176
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
海上潟の沖の洲には鳥が群がってにぎやかに鳴いているのに、恋しいあなたからは何の音沙汰もないと嘆く一首である。鳥のにぎわいと相手の沈黙とが対比され、待つ者の寂しさが際立っている。
羈旅にて作る歌の一首で、海上潟は上総あるいは下総の海岸とされる。東国の地名を詠む歌が続く中に置かれている。作者は未詳である。
初句「夏麻引く」は、夏の麻を引き抜く意で、「海上」の「う」にかかる枕詞とされる。
二句「海上潟の」は、上総あるいは下総の干潟の、の意で、字余りの句である。
三句「沖つ洲に」は、沖の洲に、の意である。
四句「鳥はすだけど」の「すだく」は、群がり集まって騒ぐ意である。
結句「君は音もせず」は、あなたからは便りもない、の意。四句の鳥の声と対比されている。
すだく:群がり集まる、群がって鳴く
なつそ:夏に刈り取る麻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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足柄の箱根飛び越え行く鶴の 羨しき見れば大和し思ほゆ
- 次の歌
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若狭なる三方の海の浜清み い行き帰らひ見れど飽かぬかも