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ま幸くてまたかへり見む大夫の
手に巻き持てる鞆の浦廻を

歌の意味
無事でいて、また帰って来て見よう。勇士が手に巻き付けている鞆、その名をもつ鞆の浦辺を。
鑑賞
巻第七 雑歌 1183

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 旅の無事を願い、再びこの地に帰って来て見ようと誓う一首である。三四句は、勇士が弓を射るときに手に着ける鞆の意で「鞆の浦」を導く序詞であり、勇ましい姿を思わせつつ鞆の浦を讃えている。
 前歌に続いて鞆の浦を詠み、前歌の四句「鞆の浦廻に」とこの歌の結句「鞆の浦廻を」とが呼応する。二句「またかへり見む」は本巻の第千百首、第千百十四首と同じく再訪を誓う型である。作者は未詳である。

 初句「ま幸くて」は、無事で、つつがなく、の意である。
 二句「またかへり見む」は、また帰って来て見よう、の意で、二句切れとなる。第千百首、第千百十四首と同じ句である。
 三句「大夫の」は、勇士の、の意である。
 四句「手に巻き持てる」は、手に巻き付けている、の意。三句とともに「鞆」を導く序詞となる。
 結句「鞆の浦廻を」は、序詞の「鞆」から地名「鞆の浦」へと転じ、倒置によって見る対象を示している。

とも:弓を射るとき左の手首に着け、弦が当たるのを防ぐ革製の道具
ますらを:立派な男子、勇士
出典
万葉集
前の歌
海人小舟帆かも張れると見るまでに 鞆の浦廻に波立てり見ゆ
次の歌
鳥じもの海に浮き居て沖つ波 騒くを聞けばあまた悲しも