あさりする海人娘子らが袖通り
濡れにし衣干せど乾かず
- 歌の意味
-
漁をする海人の娘たちの、袖を通して濡れてしまった衣は、干しても乾かない。
- 鑑賞
-
巻第七 雑歌 1186
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
漁をする海人の娘たちの衣が袖まで通して濡れてしまい、干しても乾かないと詠む一首である。海辺で働く娘たちの暮らしの厳しさが、旅人の目に映った海辺の景として描かれている。
本巻の第千百四十五首と同じ結句「干せど乾かず」で結び、そちらが妻のために貝を拾って濡れた自分の袖を詠んだのに対し、この歌は海人娘子の衣を詠んでいる。作者は未詳である。
初句「あさりする」は、漁をする、の意である。
二句「海人娘子らが」は、海人の娘たちの、の意で、字余りの句である。
三句「袖通り」は、袖を通して、の意である。
四句「濡れにし衣」は、濡れてしまった衣、の意である。
結句「干せど乾かず」は、干しても乾かない、の意。第千百四十五首と同じ結句である。
あさる:漁をする、餌や貝などを探し求める
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
朝なぎに真楫漕ぎ出て見つつ来し 御津の松原波越しに見ゆ
- 次の歌
-
網引する海人とか見らむ飽の浦の 清き荒磯を見に来し我れを