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舟泊ててかし振り立てて廬りせむ
名児江の浜辺過ぎかてぬかも

歌の意味
舟を泊め、舟をつなぐ杭を打ち立てて、仮小屋を作って泊まろう。名児江の浜辺は通り過ぎかねることだ。
鑑賞
巻第七 雑歌 1190

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 名児江の浜辺があまりに美しいので、舟を泊め、杭を立てて仮小屋を作り、ここに泊まろうと詠む一首である。美しい浜を通り過ぎがたい思いが、そこに宿ろうという決意として表されている。
 羈旅にて作る歌の一首で、名児江は住吉の名児の浜の入り江とされる。結句「過ぎかてぬかも」は、本巻の第千百二十七首の「行きかてぬかも」と同じく、立ち去りがたさを表す結びである。作者は未詳である。

 初句「舟泊てて」は、舟を港に泊めて、の意である。
 二句「かし振り立てて」の「かし」は、舟をつなぐために水中に立てる杭をいい、それを打ち立てて、の意。字余りの句である。
 三句「廬りせむ」は、仮小屋を作って泊まろう、の意。「む」は意志で、三句切れとなる。
 四句「名児江の浜辺」は、住吉の名児の入り江の浜辺をいう。
 結句「過ぎかてぬかも」は、通り過ぎることができないことよ、の意。第千百二十七首の結句と通じる。

かし:舟をつなぐために水中に立てる杭
いほり:仮に作った小屋、またそこに宿ること
出典
万葉集
前の歌
大海にあらしな吹きそしなが鳥 猪名の港に舟泊つるまで
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妹が門出入の川の瀬を早み 我が馬つまづく家思ふらしも