古典和歌stream

妹が門出入の川の瀬を早み
我が馬つまづく家思ふらしも

歌の意味
妻の家の門を出入りする、その名の出入の川の瀬が速いので、私の馬がつまずく。家の者が私のことを思っているらしい。
鑑賞
巻第七 雑歌 1191

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 出入の川の急流で自分の馬がつまずいたのを、家の者が自分を思っているしるしだと受け止める一首である。馬のつまずきを家人が思う兆しとする俗信を背景に、家への思いがこもっている。
 初句「妹が門」は、妻の家の門を出入りする意で「出入の川」を導く句である。次歌も馬が行きなずむのを家人が恋うしるしとし、二首が同じ趣向で並んでいる。作者は未詳である。

 初句「妹が門」は、妻の家の門をいう。門を出入りする意から「出入」にかかる。
 二句「出入の川の」は川の名で、所在は定かでない。字余りの句である。
 三句「瀬を早み」は、瀬が速いので、の意のミ語法で、本巻の第千百八首、第千百九首と同じ句である。
 四句「我が馬つまづく」は、私の馬がつまずく、の意で、四句切れの字余りの句である。
 結句「家思ふらしも」は、家の人が私を思っているらしい、の意。馬のつまずきを家人の思う兆しとする俗信による。次歌の結句「家恋ふらしも」と対応する。

かど:門、家の出入口
出典
万葉集
前の歌
舟泊ててかし振り立てて廬りせむ 名児江の浜辺過ぎかてぬかも
次の歌
白栲ににほふ真土の山川に 我が馬なづむ家恋ふらしも