紀の国の雑賀の浦に出で見れば
海人の燈火波の間ゆ見ゆ
- 歌の意味
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紀伊の国の雑賀の浦に出て見ると、海人のともす漁火が波の間から見える。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1194
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
紀伊の雑賀の浦に出て眺めると、海人の漁火が波の間に見え隠れしていると詠む一首である。夜の海に揺れる漁火の光をとらえた、旅情あふれる叙景歌である。
左注に「右の七首は藤原卿の作。年月審らかならず」とあり、藤原卿の作とされる七首の一首である。伝本の錯簡のため、この七首は本巻の第千百九十四首、第千百九十五首と、第千二百十八首から第千二百二十二首までとに分かれて配されており、いずれも紀伊の旅の歌である。
作者の藤原卿は、藤原氏の公卿を指す敬称である。藤原房前とも藤原麻呂ともいわれ、誰を指すかについて定説を見ない。紀伊への旅は、天皇の紀伊行幸に従った折のものとする説がある。
初句「紀の国の」は、紀伊の国の、の意である。
二句「雑賀の浦に」は、紀伊の和歌の浦の北、現在の和歌山市雑賀崎のあたりの浦をいう。
三句「出で見れば」は、出て見ると、の意である。
四句「海人の燈火」は、海人が漁のためにともす火、漁火をいう。
結句「波の間ゆ見ゆ」は、波の間から見える、の意。「ゆ」は経由を表す。本巻の第千二百三十三首も同じ結句である。
ともしび:漁のためにともす火、漁火
- 作者
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藤原卿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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背の山に直に向へる妹の山 事許せやも打橋渡す
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麻衣着ればなつかし紀の国の 妹背の山に麻蒔く我妹