- 歌の意味
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麻の衣を着ると心ひかれる。紀伊の国の妹背の山で麻の種を蒔いていた、いとしい娘よ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1195
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
麻の衣を身につけると、紀伊の妹背山で麻の種を蒔いていた娘のことが慕わしく思われると詠む一首である。旅先で見かけた娘の姿を、麻衣を通して懐かしむ心が表れている。
左注により藤原卿の作とされる七首の一首で、前歌とともに紀伊の旅の歌である。妹背の山は本巻の第千百九十三首にも詠まれている。
作者の藤原卿は、藤原氏の公卿を指す敬称である。藤原房前とも藤原麻呂ともいわれ、誰を指すかについて定説を見ない。
初句「麻衣」は、麻の布で作った衣をいう。
二句「着ればなつかし」は、着ると心ひかれる、慕わしい、の意で、二句切れとなる。
三句「紀の国の」は、紀伊の国の、の意である。
四句「妹背の山に」は、紀ノ川をはさんで向かい合う妹山と背山に、の意。第千百九十三首に詠まれた山である。
結句「麻蒔く我妹」は、麻の種を蒔くいとしい娘よ、の意で、名詞で結ぶ体言止めである。初句の「麻衣」と結句の「麻」とが呼応している。
あさごろも:麻布で作った衣
わぎも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
- 作者
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藤原卿
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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紀の国の雑賀の浦に出で見れば 海人の燈火波の間ゆ見ゆ
- 次の歌
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つともがと乞はば取らせむ貝拾ふ 我れを濡らすな沖つ白波