手に取るがからに忘ると海人の言ひし
恋忘れ貝言にしありけり
- 歌の意味
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手に取るだけで恋を忘れると海人が言った恋忘れ貝は、名ばかりのものだったのだ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1197
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
手に取るだけで恋の苦しみを忘れるという海人の言葉を信じて恋忘れ貝を手にしたが、恋しさは少しも忘れられず、名ばかりだったと嘆く一首である。恋しい人や家への思いの深さが、貝の効き目のなさによって表されている。
本巻の第千百四十九首と結句を同じくし、恋忘れ貝が名ばかりであったと嘆く同じ趣向の歌である。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。
初句「手に取るが」は、手に取る、それだけで、の意である。
二句「からに忘ると」の「からに」は、〜するとすぐに、の意で、手に取っただけで忘れると、の意となる。
三句「海人の言ひし」は、海人が言った、の意で、字余りの句である。
四句「恋忘れ貝」は、持てば恋を忘れるという貝をいい、本巻の第千百四十七首、第千百四十九首にも見える。
結句「言にしありけり」は、名ばかりであったのだ、の意。第千百四十九首と同じ結句である。
こひわすれがひ:持てば恋の苦しさを忘れるとされた貝
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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つともがと乞はば取らせむ貝拾ふ 我れを濡らすな沖つ白波
- 次の歌
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あさりすと磯に棲む鶴明けされば 浜風寒み己妻呼ぶも