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粟島に漕ぎ渡らむと思へども
明石の門波いまだ騒けり

歌の意味
粟島に漕ぎ渡ろうと思うけれども、明石の海峡の波はまだ騒いでいる。
鑑賞
巻第七 雑歌 1207

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 粟島へ漕ぎ渡ろうと思うのに、明石の海峡の波がまだ荒れていて渡れないと嘆く一首である。船出を阻まれる旅のもどかしさが表されている。
 古集に出る歌とされる。明石の門は明石海峡で、潮の流れの速い難所であった。粟島の所在については諸説がある。作者は未詳である。

 初句「粟島に」は、粟島へ、の意で、その所在には諸説がある。
 二句「漕ぎ渡らむと」は、漕いで渡ろうと、の意である。
 三句「思へども」は、思うけれども、の意である。
 四句「明石の門波」の「門」は海峡をいい、明石海峡の波をいう。
 結句「いまだ騒けり」は、まだ騒いでいる、の意。「り」は存続を表す。

と:海峡や川の狭くなった所
となみ:海峡に立つ波
出典
万葉集
前の歌
沖つ波辺つ藻巻き持ち寄せ来とも 君にまされる玉寄せめやも
次の歌
妹に恋ひ我が越え行けば背の山の 妹に恋ひずてあるが羨しさ