妹に恋ひ我が越え行けば背の山の
妹に恋ひずてあるが羨しさ
- 歌の意味
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妻を恋しく思いながら私が山を越えて行くと、背の山が妹の山を恋しがることもなく、そばに並んでいるのがうらやましい。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1208
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
妻を恋いつつ旅を行く自分に対し、背の山は妹の山と並んでいて恋に苦しむこともないのがうらやましいと詠む一首である。夫婦に見立てられた山と、妻と離れた自分とを対比し、望郷と恋慕の情を表している。
紀伊の妹背山を詠む歌で、次歌、次々歌とともに妹背山の三首をなす。本巻の第千百九十三首とも妹背山を共有する。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。
初句「妹に恋ひ」は、妻を恋しく思い、の意。四句の「妹に恋ひずて」と対応する。
二句「我が越え行けば」は、私が山を越えて行くと、の意で、字余りの句である。
三句「背の山の」は、紀ノ川北岸の背の山が、の意である。
四句「妹に恋ひずて」は、妹の山を恋しがることなく、の意。初句の「妹に恋ひ」を反転させ、自分と背の山とを対照させている。
結句「あるが羨しさ」は、そうしているのがうらやましいことよ、の意で、名詞で結ぶ体言止めである。
せのやま:紀ノ川北岸の山。南岸の妹山と夫婦に見立てられた
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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粟島に漕ぎ渡らむと思へども 明石の門波いまだ騒けり
- 次の歌
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人ならば母が愛子ぞあさもよし 紀の川の辺の妹と背の山