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人ならば母が愛子ぞあさもよし
紀の川の辺の妹と背の山

歌の意味
もし人であったならば、母の最愛の子であろうよ。紀の川のほとりの妹山と背山は。
鑑賞
巻第七 雑歌 1209

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 紀ノ川のほとりに仲良く並ぶ妹山と背山を、もし人であれば母のいとし子であろうと讃える一首である。二つの山を人に見立て、そのむつまじさと愛らしさを讃えている。
 前歌とともに妹背山を詠み、前歌が背の山をうらやむのに対し、この歌は妹背山を母の愛子にたとえて讃えている。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。

 初句「人ならば」は、もし人であったならば、の意である。
 二句「母が愛子ぞ」は、母の最愛の子であろう、の意。「ぞ」は強意で、二句切れとなる。
 三句「あさもよし」は、麻裳の産地である紀伊の意から、「紀」にかかる枕詞である。
 四句「紀の川の辺の」は、紀ノ川のほとりの、の意で、字余りの句である。
 結句「妹と背の山」は、妹山と背山をいい、名詞で結ぶ体言止めである。

まなご:最愛の子
出典
万葉集
前の歌
妹に恋ひ我が越え行けば背の山の 妹に恋ひずてあるが羨しさ
次の歌
我妹子に我が恋ひ行けば羨しくも 並び居るかも妹と背の山