妹があたり今ぞ我が行く目のみだに
我れに見えこそ言問はずとも
- 歌の意味
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妻の家のあたりを、今こそ私は通って行く。姿だけでも私に見せておくれ。言葉を交わさなくても。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1211
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
妻の家の近くを今通って行くので、言葉は交わさなくても、せめて姿だけでも見せてほしいと願う一首である。旅の途中で妻の家の近くを過ぎる切なさと、ひと目でも会いたい思いとが表れている。
妹背山の歌に続いて置かれ、妹山の名に妻を重ねて、その「あたり」を行く思いを詠んだものとも見られる。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。
初句「妹があたり」は、妻の家のあたりを、の意。本巻の第千八十五首も同じ初句である。
二句「今ぞ我が行く」は、今こそ私が通って行く、の意。係助詞「ぞ」を受けて連体形「行く」で結ぶ二句切れである。
三句「目のみだに」は、姿だけでも、の意。「だに」は最小限の願望を表す。
四句「我れに見えこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、私に見えてほしい、の意。四句切れとなる。
結句「言問はずとも」は、言葉を交わさなくても、の意。倒置で添えた逆接の仮定である。
こととふ:言葉を交わす、話しかける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我妹子に我が恋ひ行けば羨しくも 並び居るかも妹と背の山
- 次の歌
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足代過ぎて糸鹿の山の桜花 散らずもあらなむ帰り来るまで